株.com

株に関するニュース

株安、原油安で米利上げに暗雲

 世界同時株安や原油価格の下落を受け、米連邦準備制度理事会FRB)による9月の利上げ実施が遠のいたとの見方が浮上している。利上げの前提となる物価目標の達成見通しも不透明だ。注目される9月16、17両日の連邦公開市場委員会(FOMC)に向け、金融市場で不安定な動きが増すことも予想され、FRBは難しい判断を迫られる。

 FRBは7月下旬のFOMC声明で、雇用がさらに幾分改善し、インフレ率の2%目標達成への合理的確信が得られれば利上げできるとの指針を提示。これを受け、市場では9月にも利上げ可能との観測が広がっていた。

 しかし、中国の人民元切り下げで情勢は一転した。輸出促進を狙った元安誘導でドル高が進行すれば、物価抑制要因になるとの懸念が増大。中国の景気減速への不安感は世界的な株安に発展し、米原油先物相場も21日、1バレル=40ドルの節目を一時割り込んだ。

 19日公開された7月のFOMC議事要旨でも、複数の参加者が原油安やドル高による低インフレを警戒。中国の減速による米景気への悪影響を指摘しており、不安が現実味を帯びつつある。

 ただ、9月の利上げが排除されたわけではない。米国内では、住宅や消費関連などの指標は好調で、27日に発表される4〜6月期の実質GDP(国内総生産)改定値は、7月の速報値からの上方修正が見込まれている。

 「9月利上げの確率は、12月(の利上げの確率)をわずかに上回る」(米エコノミスト)との指摘もある。9月4日発表の米雇用統計の内容が良く、市場が落ち着きを取り戻せば、利上げ観測が再び強まる可能性もある。